とれもろすらむる

イラスト好きなとれもろすらむのブログです。

覚書『KILLER☆KILLER GIRLS』 : 続く緊張感と、訪れそうで訪れきらない弛緩

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ギャグの基本はギャップだと思っている。

このマンガはギャグ漫画だけれど、このマンガのギャグが成立する瞬間はわりと明暗が激しい。

 

 

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①自己主張の激しい衣装×服装の自由のない刑務所

②永遠に続くかのような日常系×他人に侵され近々殺される肉体

③消費しやすいセックスアピール×読み手の性的消費に都合の悪い、性格と肉体の生々しさ

 

という、意味的な明暗が極端にはっきりしていると思う。

 

 

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①自己主張の激しい衣装×服装の自由のない刑務所

謎。1巻を読んだ限りではこの奇抜な服装がどういった経緯で認められているのか、またはスケイプその他の幻想なのか定かではない。お着替え話があるので集団幻覚か、刑務所内でスケイプ・他凶悪犯らの服装は特別に認められているのだろう。

という都合はさておきありえねぇだろ!!と思いながら読むけれども他の日常系の制服もたいがいありえない服多いよね。

 

 

②永遠に続くかのような日常系×他人に侵され近々殺される肉体

主人公のスケイプがあこがれる日常系は、まるで永遠に続くような幸せな時間を過ごしているその瞬間をクローズアップする。日常系の主人公らは、封鎖された生態系のように緻密なバランスを保っている。そのバランスは他人の無接触や距離のある付き合いにより保たれ、時に他者により壊されそうになったとしても自浄作用が働くように回復し、傷は修復していく。この漫画のように他人によって理不尽に力で(処刑の約束があるとはいえ)幸せな時間がブツ切れたりすることはない。

限られた状況の特殊なバランスで成り立っているこの繋がりはこれからガンガンぶちぎられて行くのだろうという予感がキャラクターに視線を集中させる。緊張感。

 

 

③消費しやすいセックスアピール×読み手の性的消費に都合の悪い、性格と肉体の生々しさ

メインキャラクターたちにはほぼほぼ立派な乳があり、パンチラなどの王道セクシーイベントは一通りこなしていく。しかしそれでも、エロイベントに消費されきれないような自我が垣間見える。1話目1発目のアレ、交換条件としての性欲処理にいらだつヤガー、立派すぎるでべそ、過剰な自己意識ゆえになんかエロくない半裸。

性的に愛でるには生々しすぎて都合が悪い。CDとかちゃんとデブで余分な肉が見えるし、ケイビーの体は痩せすぎている。描き込みは読み手の理想を裏切るけれども、これは無視できない他人としてのリアリティを訴える描き込みだと思う。

性格的にも一筋縄ではいかない。実際の人間と話していると「こいつこんなこと考えていたのか」という他人感を感じることがあるが、それは自と他の間の違和感によるものだと思う。違和感は生々しい。違和感は人を緊張させる。

抽象的なものには理想を投影しやすいけれども、所々で他人のリアリティをぶち込んでくる感じ。(肉体のほかにも、処刑する力や侵す力、取引できる力なども入ると思う。)

 

 

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この作品が気になる理由は緊張感があるからだと思いました。

んであと、読み手の性的嗜好によってだいぶ読み方が違う漫画になる可能性があるなぁと思う。エグい想像に耐えられるキャラクターが多いなと思いました。刑務所があるような法治国家で刑務所に入るってことは、それなりの危険を侵してくるだけの自我があったんだろうなぁとか。

 

魅力的な漫画だと私は思います。

 

ばーっと思ったこと書いた。久しぶりに書いたのであんまうまくいってないかも。

おわり!